修羅場

あいかわらずジャックはふしだらな男で、カーリーはジャックに執着する女になってます。カーリー好きはご注意ください。

 

 

 

 

 

 夜の帳が下りたサテライトの湾岸に佇む影がふたつ。それはジャックとカーリーの姿だった。カーリーがジャックの胸に拳をしたたかに叩きつけるが、ジャックは少し離れたホイール・オブ・フォーチュンのテールランプの点滅をただただ見つめるだけであった。ジャックの胸にしがみつくとカーリーは嗚咽をあげた。

「こんな裏切りって…こんな裏切りってないんだから…!」

ジャックは静かに、目線は変えずに答えた。

「…自分の気持ちに正直になりたくなっただけだ…。」

「遊星のもとに行くだなんて…!どうして!?あなたたち男同士でしょう!?」

「性別の垣根なんてとっくに越えた。俺は奴だからこそ惹かれたんだ。俺が自分の道を進むことを応援してくれたのは、カーリー、お前じゃなかったのか。」

「でも、非道過ぎる…!何もかも尽くしたのに、何がいけなかったの?」

「お前に咎は無い…。責められるべきは俺だ。」

「私は、ジャックにそばにいて欲しいのよ!」

「おれのしたことは、これからの人生をかけて償うつもりだ。」

「なら、遊星のもとに行かないで!私の隣にいてほしいんだから!」

「それは…無理だ。」

ジャックの襟を掴んだカーリーの拳が震える。

「…私を愛してくれたのは、抱いてくれたのは遊びだったの?」

「それは違う。お前のことも好きだ。」

「遊星がいなければ…私のことを一番に選んでくれた?」

ジャックはカーリーの涙に濡れた瞳を見つめ、ただ一言答えた。

「…ああ。」

「私なら…あなたの子どもも生んであげられる。素敵な未来が築けるのよ、あなたの血が、キングの血が後世にも残せるんだから。」

「そんな未来など俺は求めていない…俺が必要なのは…。」

「やめて!その名を口にしないで!」

カーリーに向けられたジャックの目には何も映ってはいなかった。その視線にカーリーは既視感を覚えた。

―そういえばジャックと出会った頃から、時々この視線を感じたことがある。愛情も友情も何ものも包括しない冷たい目を。

 

未完。